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心筋梗塞(症)の症状・原因・治療方法

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心筋梗塞(症)とは、冠状動脈の血流不足の状態が強く、30分以上も続くと、心臓の壁の一部の細胞が死んでしまいます〔壊死(えし)〕。
この病気にかかって数週間を急性心筋梗塞といい、非常に死亡率の高い病気です。この期間を過ぎると、死んだ部分は傷あとになって残り、心臓の収縮の状態はもと通りではありませんが、比較的安定した状態になります〔陳旧(ちんきゅう)性心筋梗塞〕。

急性心筋梗塞

冠状動脈硬化のある人で、経過中に、なにかのはずみで冠状動脈が、血のかたまりや動脈硬化のくずれたものなどでつまってしまうと起こる病気です。

症状

発病の数日あるいは数週間前から狭心症の発作が繰り返し起こり、だんだんひどくなったり、あるいはなんの前ぶれもなく、急に胸の中央から下のほう、みずおちに、ひどい締めつけられるような痛みが起こります。苦しくて死ぬような不安感、恐怖感に襲われます。胸痛の強いときは、モルヒネなどの麻薬も使わないと痛みがおさまらないほどです。

吐き気が起こり、吐いたり、冷や汗、脂汗を流したりします。狭心症の極端なかたちで、亜硝酸薬は無効です。発作は30分以上続き、くり返して1~2日も続くことがあります。この最初の2日間に4割ほどの人が死亡します。
脈の乱れ(不整脈)やショック、急性心不全で死ぬ人が多く、入院が必要です。脈を触れると非常に弱く、不整脈になることもあります。

翌日から数日の間、37~38度の熱が出ます。順調なときは数日間のうちに、だんだん落ち着いてきます。
いったん落ち着いても発病後1~2カ月は再発することも多く、また2~3週間目には、反応性の胸膜炎や心膜炎が起こることもあり、その場合にはもう一度、胸痛や発熱があります。

症状は急激で、いろいろな特徴があり、わが国でも最近40歳以上の男性に増加しています。あまり激しい労働をしない事務職、管理職、特に完全主義できちょうめんで闘争的な性格の人、肥満、高血圧、喫煙、高脂血症などの人は要注意です。

高齢者などで痛みがほとんどない人や、食欲低下、意識消失などで始まることもあり、症状がそろっていないとか、軽いときは、なかなかわからないこともあります。

診断方法

心電図による検査をおこないます。携帯用の小さな器械があって、すぐ調べることもできます。なお、血液の検査をして、血清中にこわれた心筋からの遊離物質(クレアチンキナーゼやトロポニンなど)を証明すると、心筋壊死(えし)のひろがりがわかります。

治療方法

ひどい狭心症の発作があったら、すぐ救急車を呼びます。発病から6時間以内なら、冠状動脈にできた血栓を溶かして血流を取り戻す処置をします。まず、抗血小板薬や血栓溶解薬を用い、それでも開通しなければ、あるいは血栓溶解薬を使わないで直接にカテーテルで血栓の吸引除去やバルーン拡張、ステントなど閉塞部分に冠状動脈形成術をおこないます。

発病から数日間、死亡の危険の高い間、CCUで集中持続監視と治療がおこなわれます。このような病棟には、十分訓練を受けた医師と看護師が常に配置され、心電図や血圧の変化に応じてただちに適切な処置をし、死亡の危険の多い数日間を切り抜けます。このような病棟の治療は、冠状動脈の血流再開の処置が第一であり、重症な不整脈を治療するのも有効で、直流除細動器や心臓ペースメーカーなどの機械が使われます。

発病から1~2カ月をぶじに経過しても、心臓の壊死(えし)部分は傷あととして残っているので、無理はできません。病気の重症度に応じて適当な仕事量を医師に決めてもらう必要があります。
また、心不全や不整脈のある場合には、利尿薬、強心薬や抗不整脈薬を続けて服用し、狭心症の発作がある場合には、狭心症と同じように治療し、再発の起こらないように注意することが大切です。

予防方法

予防は、狭心症と同じように、肥満や糖尿病、高血圧、痛風などのある人は、それぞれの治療をします。また、たばこはやめ、動物性脂質や食塩をできるだけ少なくします。

陳旧性心筋梗塞

心筋梗塞は、いったん発病すると傷あとの残る病気ですから、広い範囲の心筋がこわれると、一生病気が続いているつもりで生活しなければなりません。この状態を陳旧性心筋梗塞といいます。病気はあっても、肉体労働でない限り、8割以上の人がもとの仕事に戻れます。

心筋梗塞は、発病の初期(急性期)が過ぎると、ほとんど症状がなくなりますが、一部の人は、狭心症の発作が続いたり、運動したとき息切れや動悸が起こったり、むくみが出ます。このような症状のある人は、主治医の指導の下で狭心症の薬や不整脈の薬、強心薬、利尿薬などを続けて服用し、症状のない人でも再発に備えて、ニトログリセリンだけは必ず持っているように心掛けます。